個の変化はチームの変化—「発達する組織」という視点

家族ライフサイクルとは何か

家族ライフサイクルは、家族を「固定化された人の集まり」ではなく、時間とともに変化・発達する「動的なシステム」として捉える理論です。

家族には段階ごとに固有の課題が生じます。

  • 新婚期:新しい関係性の構築、役割の調整

  • 乳幼児期:親としての役割獲得、生活リズムの変化

  • 学童期:教育・社会との接続、家族外との関係拡大

  • 思春期:自立支援、親子関係の再定義、夫婦関係の変容

  • 巣立ち期:夫婦関係の再構築、親役割の手放し

  • 老年期:健康維持、社会との関わり方の再設定

個人が発達すると、家族全体の構造も変わり、その変化が次の段階の発達課題を生みます。
つまり、家族の発達=個人の発達 × 関係性の発達であり、両者は常に相互作用しています。

個人の発達課題は、チーム全体の課題でもある

家族の発達段階では、子どもが新しい時期に入ると、親もまた新たな役割を求められます。

  • 子どもが自立すれば、親は「手放す」課題に直面する

  • 子どもが学校という社会に入れば、親は社会とのつながりを再構築する

  • 子どもが思春期に入れば、親は「コントロールから信頼へ」と変化する

つまり、家族は個人ごとに別々に変化するのではなく、家族全体がひとつのチームとして変化するのです。

この構造はそのままビジネスチームにも当てはまります。

  • 新人が入れば、上司の関わり方が変わる

  • ベテランが増えれば、チームの意思決定が変わる

  • 社員が昇進すれば、チーム全体の関係性が再編される

誰か一人の変化は、必ずチームそのもののあり方を変えていきます。

家族の発達とビジネスチームの発達の共通点

チームも家族も、時間とともに次のような動きをします。

① 役割が固定ではなく、動的に変化する

家族では、「母親だから」「父親だから」という固定役割が通用しなくなる時期があります。
ビジネスでも同じで、役職の肩書きよりも状況に応じた柔軟な役割変更が求められるようになります。

サイクルには“移行期の混乱”がつきもの

家族の移行期(例:思春期、巣立ち期)は最も不安が強まる時期です。
組織も同じで、

  • 部署再編

  • 新しいメンバー加入

  • マネジャー交代

こうした変化期には、必ず一時的な混乱が起こります。
混乱は失敗ではなく、発達の前段階だという視点が必要です。

③ 役割・関係性・価値観が“同時に”動く

家族では、子どもの変化が夫婦関係にも影響し、親のキャリアや人生観にも影響します。

組織も同様で、一人の昇進や退職は、チーム全体の関係性や心理的安全性を揺らします。

人が変わればチームが変わるのは自然な現象なのです。

組織も「チームとしての発達課題」を認識してみよう

家族ライフサイクルが多様化しているように、組織のライフサイクルも今は定型化できない時代です。

  • 多様な働き方

  • キャリアの流動化

  • 年齢構成の変化

  • 正社員/フリーランスの混在

もはや、「成長 → 安定 → 拡大」という一本道のライフサイクルではありません。
だからこそ必要なのは、

「チームとして、今どの段階にいるのか?」

「個人の変化がチームにどんな影響を与えているのか?」

という発達の視点なのです。

家族システムから学べる組織のヒント

● 移行期の混乱は異常ではなく「自然な成長プロセス」

● 個人の変化は、チーム全体の変化として扱う

● 固定役割ではなく、柔軟な役割再編が必要

● 関係性にも発達段階がある

● 多様なライフコースを前提にした組織設計をする

これらはすべて家族ライフサイクル理論から導けるビジネスのヒントです。

チームを自分ごととして捉える

組織は「家族のように捉えるべき」という意味ではありません。
しかし、個人の発達とチームの発達が相互作用する構造は、家族も組織もまったく同じなのです。

だからこそ、管理職やリーダーは 個人の変化チームの変化として理解する必要があります。

家族が時間とともに形を変えるように、組織もまた、ひとつの発達するチームなのです。

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