「手放すこと」で未来を作る

先日、実家に残っていた本を整理しました。
本は私にとって財産のようなもので、子どもの頃に夢中で読んだ思い出深いものばかり。
できれば手元に残しておきたかったのですが、「長い間読み返していないのだから、きっとこの先も同じだろう」と考え、思い切って処分することにしました。
埃を払いながら、一冊一冊を手に取ると、その本とともに過ごした時間や当時の感情が鮮やかによみがえりました。そして、「この本たちが今の自分をつくったんだな」と、しみじみと感じたのです。
過去の整理がもたらす効果
このように、過去を整理することは、単なる物理的な片付けではなく、心理的な自己理解にもつながります。
例えば、本を整理するプロセスを通じて、「なぜこの本を読んでいたのか?」「この本から何を学んだのか?」と振り返ることで、自分の価値観や興味の変遷を理解できます。このような作業を繰り返すことで、自分がどのような人物であり、どこに向かおうとしているのかが明確になっていきます。
自己理解を深めるための「心の整理」
本の整理は目に見える作業ですが、実は心の中にも同じように「整理すべき過去の経験」がたくさんあります。特に、過去の成功体験や挫折した経験を振り返ることは、自己効力感*1)を高める上で非常に重要です。
心の整理をするための3つのステップ
- 過去を振り返る:成功体験や影響を受けた出来事を書き出す。
- 意味を見つける:それらが現在の自分にどのような影響を与えたのかを考える。
- 未来に活かす:過去の経験をもとに、今後どんな方向に進みたいのかを明確にする。
また、本を整理しながら、「手放すことで、新しいものが入るスペースができる」ということも実感しました。
これは、ビジネスにおいても同じことが言えるのではないでしょうか?
ビジネス成長のために「手放すこと」を考える
私たちは日々、多くの経験を積み重ねています。
しかし、それらをすべて抱えたままだと、新しい成長のスペースがなくなってしまうことがあります。
働く中で、日々の業務に追われながらも、「やるべきことが多すぎる」「本当に重要な業務に集中できない」と感じていることはありませんか?
心理学では、「コンフォートゾーン(快適領域)」*2)という概念があります。
これは「慣れ親しんだ環境や習慣の中にとどまる状態」を指します。一見、快適ですが変化を避けることで成長のチャンスを逃してしまうことにもなりかねません。未知の部分はないため、安心してリラックスしながら働けますが、刺激が少なく飽きてしまったりモチベーションが下がってしまうこともあります。
しかし、それらを手放すことでより重要なビジネスの成長や戦略的な活動に集中できるようになり、成長・発展することができるようになります。
過去のものを整理し、必要なものだけを残すことは、新しい可能性に向かうための第一歩です。
過去の経験を整理し、未来につなげる
本の整理を通じて「過去に影響を受けたもの」を振り返り、今の自分に不要になったものを手放して身軽になることができました。
- あなたの人生に影響を与えたものは何ですか?
- 今の自分にとって必要なもの、不要なものは整理できていますか?
- 新しいフェーズに向けて何を手放し、何を大切にしたいですか?
コーチングでは心理面の「自分自身の気持ちの整理」、事務代行で「現在抱えている業務の整理」を行います。
「何かを手放し、新しい可能性に向かいたい」と感じたら、ぜひ一度お話をお聞かせください。
注釈:
*1)自己効力感:心理学者バンデューラが提唱した自己効力感とは「自分はこの課題を達成できる」という感覚のこと
*2)コンフォートゾーン:人の成長を3つに分けて考えたカテゴリの一つ。他にラーニングゾーン、パニックゾーンがある。